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日本は中国で売れるか?


■中国進出における中華風アレンジ

日経ビジネス特集には、香港ジャスコの事例が挙げられている。香港人社員達に積極的に日本へ行かせ、流行商品やマーケティング手法を学ばせ、品揃えは日本からの輸入品を意識的に増やしているという。日本商品は意外なほどよく売れているそうだ。しかしその一方で上海ジャスコは昨年春に撤退している。香港で好調なのになぜ上海ではうまく行かなかったのか。撤退当時、不振の最大要因は立地の悪さと考えられた(私自身もそう考えた)。上海駅前といえば一見いい場所に聞こえるが、上海駅は地方からの玄関口としての機能を有すのみで、新宿駅のような通勤・通学のターミナル機能を有していない。また周辺住民の所得も比較的低く、これが営業不振の理由と思われた。しかし、ジャスコの後を継いで同じ建物で営業している『太平洋百貨』は結構な客入りとなっている。何が変わったかと言えば品揃えと価格だ。ジャスコの頃は、客が少ないこともあり閑散とした雰囲気がすることもあったが、太平洋百貨となってからは商品が所狭しと並べられている。そして店じゅうにセールの文字が掲げられ、通路には安売り商品を満載したカートが並ぶ。店舗はきれいでサービスも悪くないという点で外資の影響を受けているが、他方であふれるように並べられる商品とセールの文字は賑やかな雰囲気が好きな上海人のテーストに合致している。

コカコーラが「可口可楽」、ソニーが「索尼」といったように、各外国ブランドが漢字表記をしていることは周知のとおりである。以前JVCの人より、漢字を使わずJVCというブランドを使っていることが販売の足かせになっているという話を聞いたことがある。これなども中国進出における中華風アレンジの重要性の一例と言えよう。


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