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一条さゆりさんの私的本

サイトのTOPページ最下段で連載している一条さゆりさんの「私的本」シリーズ。この企画、おかげさまで現在大変ご好評をいただいているが、連載開始時には掲載について編集部内でちょっとした議論があった。

内容が性風俗に関するものなので、女性読者などに対して嫌悪感を与えるのではないかとか、サイト全体の雰囲気を変えてしまうのではないか、といったような意見である。しかし実際に読んでみると、性風俗をおもしろおかしく紹介するようなものではなく、中国の陰の部分について大真面目に論じるもので、例えるならば、男性誌による性風俗紹介記事ではなく、NHKのドキュメンタリー番組といったようなものである。若干の反対意見は残ったのだが、編集長判断で連載を開始することとした。

連載が始まると、男性より数件「掲載をやめるべきではないか」とのご意見の投書をいただいたが、一方で多数の「おもしろい」という意見もいただいた。好評意見の多くは、意外にも女性が中心である。考えてみれば、第1シリーズの「中国的陽陰世界~中国の下半身事情~」については、マッサージ店の内情や性風俗で働く女の子達の実態など、男性駐在員にとっては既知の情報も多い。一方女性には驚きの内容となっているようで、それも話し手が女性であることから変ないやらしさもない。こうしたところが女性にうける理由なのだろう。書籍の販売も同時に行ったが、連載開始後すぐに完売する人気であった。

この手の話は男性は書きづらい。何を書いても自分の経験だと思われてしまうし(実際そうだろうし)、世間体を考えれば署名入り文章は難しい。読み手にとっては、男性が書いたものとなると、どこか武勇伝を聞かされているようで、ちょっとドロくさい。本書を執筆した一条さゆりさんは、日大芸術学部卒業後、にっかつロマンポルノ等の女優として活動し、1986年に二代目一条さゆりを襲名ストリッパーとなる。そして1998年に休業宣言し、広州に留学。同時に1999年より香港紙等にコラム執筆を開始し、日本で数冊の書籍を出版している。女性であり、執筆家であり、中国の経験も長く、かつストリッパーという経験を通して男性の性に対する考え方をも理解できる彼女は、こうした内容のスピーカーとしては最適といってもいいのかもしれない。

一条さゆりさんには連載開始前に実際にお会いし、夕食をご一緒した。ちょっとお話好きで、ちょっと気さくな美人である。現在も時々日本に赴いては現役で踊っているのだそうだ。一条さゆりさんはご自身のホームページをもっている。女性読者の多そうなほのぼのとしたサイトである。興味のある方は是非一度覗いてみていただきたい。http://ichijo.s66.xrea.com/

先ごろ第2シリーズである「中国的驚愕世界~中国の街角で見た事実~」の連載が始まった。前シリーズは日本人駐在員の夜の話が中心だったが、本シリーズは、依頼殺人(敵討ち)、エイズ村、整形美容事情、乞食の実態等々、他のメディアであまり紹介されてこなかった内容が紹介されている。第1シリーズでは知っている内容も多かったのだが、2冊目は、噂レベルで聞いていた知識が体系的に整理されるという知的快感を得られた。中国ブームのため見えにくくなっているが、中国を真に理解するためには、その抱える問題点についても知る必要があるだろう。中国に関わる人全てにお勧めの一冊である。毎日少しづつ連載しているが、まとめて読みたい方はエクスプロアオンラインモールでご購入いただける(在庫が限られているのでなにとぞお早めに)。

「私的本」はさらに第3刊、第4刊、第5刊と続く予定。第3刊のタイトルは「中国的恋情世界」だそうだ。タイトルからだけは詳細はつかめないが、副題が「中国版男と女の事件簿」とされており、またまたなかなかディープな内容そうである。■

(2005年2月記)




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