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冬のゴルフはアモイに限る


冬のゴルフはまったくだめだ。平均で5打ほど悪くなる。よって冬はゴルフをあまりしない。といってもゴルファーの常としてたまに禁断症状におちいる。どうにもボールを打ちたくなるのである。こんな時は南方遠征に出るしかない。ただし毎回ハワイやオーストラリアに行くわけにはいかない。こういう時に絶好なのがアモイである。飛行機で1時間ちょっとで半袖1枚でもプレー可能な世界に到達できる。飛行機代は往復で1300元程度だ。上海で厚着してホカロンを抱いてプレーをし大叩きするぐらいなら上海でのプレーを数週間休みアモイに2泊してゴルフ三昧した方がよい。飛行機は複数便があるので到着した日もラウンドできるし、帰る日には夜の便があるので2ラウンドすることも可能だ。アモイは今回で2回目だが、前回は2泊で5ラウンドした。11月だったがすいていたので1日2ラウンドも簡単であった。今回は2月28日から3月1日の1泊で2.5ラウンドである。やや不完全燃焼ではあったが、春の陽気のゴルフを楽しめた。


アモイ市概要

前回も今回もゴルフばかりし、まともに街を見ていないので偉そうに説明するのもどうかとは思うが、一応アモイ市についてごく簡単にふれておこう。

アモイ市は福建省の都市である。明代より貿易港として栄えていた。南京条約で開港されて以降発展した町で上海とは兄弟である。アモイ市街より舟で10分程のところに位置する鼓浪嶼には租界時代の建物が多く残る。79年に経済特区に指定されてから急速に発展した。台湾に近く、台湾企業、台湾人が多い。気候は冬も暖かく、晴れていれば半袖一枚でプレーすることができる。


凱歌(アモイ)ゴルフ場

アモイは近い。上海を出て、眠くなってきたころにはもう着いてしまう。アモイ空港は中国で一番新しいそうだ。非常にきれいなターミナルである。

その後車で凱歌(アモイ)ゴルフ場へ向かう。ダウンタウンや空港のあるアモイ島から橋で大陸側に渡り20分程度であった。タウンタウンからなら40分程度だろう。

このゴルフ場はコースレイアウトがなかなかすばらしい。ティーショットの落ちどころにバンカーまたはブッシュが配置されており、ティーショットは毎回考えさせられる。このラウンドのパートナーであり大学の先輩でもあるHさんは「何を悩んでいるんだよ。真っすぐ打ちゃいんだよ」という。実際彼はこともなげにティーショットをする。しかし曲がる時は玉がブーメランになってしまう私はホールごとに悩まされてしまう。ブッシュに入ったらほぼ1打罰と考えてよい。無理して打つと同じブッシュの中で2回3回と打つはめになりかねない。グリーン周りもバンカーで固められている。

起伏があるのもフラットな上海のコースでばかりプレーしている我々にはうれしい。1番ホールよりさっそくティーショット落下地点がブラインドとなるホールである。セカンドショットは左足下がりとなり日ごろ慣れていない上海プレーヤーには大変打ちずらい。

特に印象に残っているのホールは18番である。レギュラーティーから402ヤードだが、ティーショットを正確にかつ距離を出しておかねばパーはかなり厳しい。ティーショット落ち所は左右からバンカーが迫り、ここをクリアしても前後に大きなバンカーで固められた天井グリーンが待ち受けている。セカンドショットで4番アイアン以下のクラブではグリーンに届いても転がってしまい奥のバンカーか更に悪ければブッシュにつかまってしまう。

芝の状態はよくない。今回及び前回プレーした時のスコアはいずれも不満足なものであったが、その最大の理由は芝がはげていて、アプローチショットが下手くそで、ボールがある程度浮いていないと寄せられない私は苦戦を強いられたのである。グリーンも、ロングパットは左に右にふらふらしながら転がっていく(99年2月プレー時も芝の状態は同じであった)。

住所:厦門市同安区福厦公路同集干道上
電話:0592‐701‐1678
Fax : 0592- 701- 1882


東方(アモイ)ゴルフ場

アモイの中心から50分位だっただろうか。結構遠い。

海というか港沿いのコース。コースから望めるのはビーチと青い海ではなく養殖と灰色の海だが、こういうのもリンクススタイルというのだろう。きれいはきれいである。

トラップは基本的には海及び池である。水のプレッシャーに負けずにティーショットをしなければならない。曲がる人はボールも多量に持っていく必要がある。

ここのキャディーは上海とはまったくちがう。グリーンのラインをほぼ正確に教えてくれる。上海のゴルフ場のキャディーはキャディーバックを運ぶだけのマシーンとなっているが、ここではそうじゃない。どこに打てばいいか、距離はどの程度かほぼ正確に教えてくれる。グリーン上でボールを拭いた後はボールのロゴを正確にホールに向けておいてくれる(といっても私はロゴの向きなどまったく気にしないので、むしろノロノロしていていらいらしたが)。ただし、キャディーのアドバイスを鵜呑みにするのは危険だ。私は4番ロングホールのセカンドショットでキャディーより「クリークまで260ヤード」というアドバイスを受けた。私はアドバイスに従い、フォローの風を計算に入れても池に落ちないように210ヤード程度で打っていった。ここはドラコン(パーしばり)4階建がかかった極めて大事なショットである。めったにない会心のショットを打った。残りは50ヤード程度のはずで、もうドラコン獲得は確実だ、と思いながらボールがあるはずの場所へ歩いていった。しかしボールがない。クリークに落ちたのである。実際には220ヤード程度だったようだ。私は完全に切れた。このホール4オーバーで、その後も後を引き5番ホール4オーバー、6番ホール5オーバーであった。

このコースも凱海ゴルフ場と同様に起伏がある。フラットなコースになれた我々には新鮮である。

グリーンが無茶苦茶速い。凱歌ゴルフ場と同じつもりでパターをすればとてつもなくオーバーしてしまう。グリーンは結構いい。

電話:0592‐509‐9260


南大武ゴルフ場

ここには市中心の波止場より舟で行く。モーターボートで20分程度だっただろうか。アモイのダウンタウンを左に、洋館の立ち並ぶ鼓浪嶼を右に見ながら進む。観光客にとってはこの行程だけでも十分に価値がある。波止場にはバンが迎えに来てくれている。バンに乗って5分もすればすぐゴルフ場である。

このゴルフ場はきれいだ。私は民家や農地が見えるゴルフ場は好きじゃない。ゴルフは都会の雑踏から逃れるために行くのだ。コースから俗世が見えるのはよくない。しかしこのゴルフ場は山と海と別荘地しか見えない。

中でも特に美しいのは、6番ホール。右側はずっと砂浜が続く。そこにビキニの小姐でもいれば最高だ。左は松林でティーショットの落ち所は松林が迫り細くなっている。短めのホールだが、ツーオンを狙うには勇気がいる。グリーン周りは、右に曲げれば海、ショートすればバンカー、左にいけば松林が待っている。

アウトは比較的簡単だが、油断してはいけない。10番、11番、12番と右にOBがありスライサーにはつらいホールが続く。中でも12番はホワイトティーからでも461ヤードあり、アゲインストの中でのパーは至難である。

このゴルフ場は他の2つのコースとは異なりフラットである。2ラウンドしてかなりいいスコアが連続して出たが、上海と同じフラットなコースだったためだろうか。全体的に広く、OBも少ないためガンガン曲がる私に合ったコースだったためかもしれない。

アモイでは一番新しいコースということで、芝も一番よい。

住所:龍海市港尾鎮大径村
電話:0596‐688‐1551
Fax :0596‐688‐2402


混雑度等

南大武ゴルフ場については平日のプレーであったためがらがらで、我々以外には2組がプレーしていただけである。凱歌、東方ゴルフ場については週末のプレーであったがさして詰まることなくプレーできた。比較的ゴルフ場はすいていると言えるのではないか。

アモイのゴルフで閉口したのはプレーヤーのマナーの悪さである。後続の組に全部で3回打ち込まれた。1度はボールが頭を超えていった。前の組との間があいていないにもかかわらず、何の断わりもなく割り込まれたことも2回あった。この短い滞在で何度もあるということはそれがアモイのスタイルなのかもしれない。割り込みはまだしも打ち込みは命にかかわる。ヘルメットをかぶれとでもいうのか。


宿泊

今回はホリデーインに泊まった。ダウンタウンに位置し、大変清潔なホテルである。波止場にも近いので南大武ゴルフ場に行くにも便利である。ただし外出する時は、このホテルがアモイの人々には「海景飯店」と呼ばれていることを覚えておこう。ホリデーインを意味する「暇日飯店」といっても誰も知らない。夜に外出してタクシーでホテルへ戻ろうとしたが「暇日飯店」といっても運転手は知らないという。運転手がいろいろな人に聞くが誰も知らない。ホテルが波止場のそばに位置することだけは覚えていたので「波止場のそばの大きなホテルに行ってくれ」と言ったところ何とかたどりつくことができた。東方ゴルフ場と業務提携しているようで割引料金でプレーすることができる。

前回は悦華酒店に泊まった。こちらはアモイ島の北部に位置する。市中心には遠いが空港及び凱歌、東方の両ゴルフ場にはここからの方が10分程近い。凱歌ゴルフ場とは業務提携しており割引料金でプレーすることができる。こちらも清潔でいいホテルだ。広い敷地内に建物が散在し、夜総会やサウナは宿泊場所とは別棟となる。


今回の遠征ではスコアはまったくよくなかった。でも今はオフ中だからしょうがない。ぽかぽか陽気の中で、上海ではない起伏のあるコースでプレーし、海鮮を食べて、夜は街へ繰り出す。1泊だが実に充実した週末を過ごすことができた。



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2021年12月28日第2版発行



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2017年5月15日刊行



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